新年のご挨拶


新年明けましておめでとうございます。一昨年来大変厳しい経済状況が続いていますが、こうして七度目の新年を迎えられたことは、ひとえにお客様・パートナー企業様をはじめとしました皆様のお陰であります。改めて感謝申しあげます。

思えば、2010年という年は、カオスウェアの起業準備プロジェクト(2000年-2003年)が、カオスウェアの設立3年前、JST(独立行政法人科学技術振興機構)の一チーム(カオスCDMAチップチーム)ではじまって10年という節目にあたる年です。ちょうどミレニアムということで、当時の小渕内閣が、ミレニアム予算ということで、新しい大学や国立研究機関で生まれた基礎研究開発の成果を事業化するのに、予算化されたのでした。創業メンバーは、無論、その様な背景は知るすべもなく、とにかく、新しいカオステクノロジーの実用化に無我夢中で、何の縁もない状況で文字通り冒険心で応募し、運よく採択され、初めてのチャレンジ続きで何とか3年後に設立にこぎ着けた訳です。その意味で、本年は、初志貫徹の精神を忘れない、原点をふりかえりつつ、よくありがちな、原理原則に拘りチャンスをみすみす逃すことのない、フレキシブルな行動様式をとる(新しいカオスウェアに脱皮)をテーマに経営・研究開発・製品化・サービス化にカオスウェア経営陣・社員一丸となって全力をそそぐ決意であります。

さて、昨年をふりかえりますと、研究開発では、世界初となるカオスOFDM(カオス原始根符号)のRF実装に成功し、5.25GHz帯、2.45GHz帯の無線通信の実験に成功しました。

又、現在、OFDM, MIMOといった技術を中心に開発及び国際標準化が進んでいる新しい4G(IMT-Advanced)といった高速無線通信のサービスが2012年以降開始された場合、何がキラーアプリケーションになるのかを考えサービス開発した結果、5Mbyteから10-20Mbyteの高精細画像(動画)の送信(アップロード)がそれに該当すると考え、現在世界中で普及しつつある3Gネットワークインフラを用いたサービスで、おそらく世界初といえる、3G携帯で撮影された動画を直接アップロードするサービス”PhotoCipher”を共同パートナーであるNID様と共同開発し、世に出しました。本サービスは引き続き、コンシューマ版への展開を本年着実に行う予定であり、カオスウェアを先端カオス(通信・セキュリティ)技術オリエンテッドな携帯無線サービスプロバイダーの会社として、今まで開発してきたコア技術(NICTや理研等の研究所で培ってきた技術)は大事にしながらも、新しい衣、つまり新サービスをグローバルに展開する年にします。

最後に皆様のご多幸をお祈りいたします。本年も宜しくお願い申しあげます。

平成22年1月1日

株式会社カオスウェア 代表取締役社長 梅野 健



昨年(2009年)の結果の抜粋

2009年の結果 その1

暗号便というWeb上の暗号技術を実現したWebサービスにおいて、2008年12月のトラヒックから2009年12月のトラヒックへの1年間の伸びが、2倍強となり、2007年12月から比較すると150倍以上の伸びとなりました。その暗号便を基礎とした、ウェブサービス(暗号便私書箱)を政府の予定している電子私書箱に先駆けて開始し、カオスウェアとしては創業以来、初めてウェブサービスで売上を計上しました。様々な暗号化・認証といったカオスウェア技術がパックされた暗号便を基礎に様々なウェブアプリケーションを今後も開発していきます。また、他の企業様と暗号便でサービス・コラボレーションできる仕組みも開発していきます。


2009年の結果 その2

携帯電話で撮影した動画や写真を位置情報とともにWeb上に共有する新サービスPhotoCipherをNID様と2008年秋から共同開発してきましたが、それに成功し、更にNTTドコモ社から、PhotoCipherが法人向けサービスとして正式認定を2009年8月に受け、法人向けサービスを開始しました。また、このPhotoCipherの海外での利用を、インドネシア、シンガポール、タイ、等で試みたところ、3カ国とも、現地の携帯オペレータ経由で、日本国内にあるカオスウェアのサーバーとの認証等に成功し、海外でも問題なく利用できることが解りました。また、海外のオペレータ(某国携帯オペレータ)とPhotoCipherの海外利用について交渉を開始しました。カオスウェアでは、新しいブログツールとしても、このPhotoCipherに着目しており、昨年末、PhotoCipherを用いたブログサービスを開始しました。最初のユーザーは、カオスウェア社長となります。

PhotoCipherブログ: http://www.angobin.jp/photocipher/open/chaosken/


2009年の結果 その3

初めての海外出展。ICR2009という当社社長が共同議長となる国際会議(主催:インドネシア共和国情報通信省、日本からNICT、Jaxa, ARIB等が協力)を昨年12月にインドネシア バリ島で開催し、そこにPhotoCipherや新型原始根符号を用いたカオスCDMA通信実験の展示をしました。また、同会議でWINDS衛星を用い、インドネシアで初めてTV会議の中継(タイバンコクーインドネシアバリ島)に成功しました。その模様は、カオスウェア-NIDのアプリケーションサービスでPhotoCipherで実況中継しました。

http://www.angobin.jp/photocipher/demo/icr2009/


2009年の結果 その4

カオスウェアの一つの源流である、カオスモンテカルロ法の特許(理研とカオスウェアが共有)米国特許第6289296号が、アップルコンピュータ(カオス生成)、IBM(グリッドコンピューティング)、GE(ポートフォリオ解析、リスク評価システム)、バテル研究所(MCMC)といった著名な世界企業の米国特許に2001年9月11日の登録から7-8年経過した後に、引用され始めました(現在2009年、引用特許数が11)。

これは、当該特許(当然世界初のカオスモンテカルロ法の発明)が、様々なところに応用可能な基盤技術のコアとなることを示す客観データとして我々も着目しております。