新年のご挨拶

 新年明けましておめでとうございます。真空管からトランジスターへの変革と同様のイノベーションが、カオスによって信号処理、ディジタル通信システム、コンピューティング、信号解析, システム学の分野で起こる、その先駆者になろうとの想いでカオスウェアが設立されて五回目の新年を迎えました。

昨年1月、私は、スイスのジュネーブで行われたITU(国際電気通信連合)の会合で、周波数の割り当てを2次利用も含めてよりダイナミックに行うことで、新しいサービスが生まれ、新しい周波数の価値を決めるダイナミックな市場が生まれるとの予想"Chaos Approach to Spectrum Management"を発表しました。各国のテレコム関係者・政策関係者からの思わぬ反響を得ましたが、これは、携帯電話等でサービスの多様化・サービス人口の増加からくる周波数自体の価値が近年、相対的に高まっていることに起因するものだと考えられます。また、新しい経済学の対象として、周波数=公共財が定着し、現在世界中の政策関係者が真剣に議論しているのを目の当たりにし、”何か新しい大きなことが生まれる前夜”に我々は今いることを実感しました。

さて、周波数の価値を高めるためには、本質的には周波数帯域を利用するサービスの価値を上げることであり、技術的には、周波数の利用効率を高めることに他なりません。更に、周波数利用効率を一定の周波数帯域で高めるには、SNR(信号対雑音比)を高めるしかありませんが、昨年我々は、それを本質的に実現する2つのな方法を発見し、その効果を確証しました。

また、昨年は、一昨年の11月に凸版印刷様と協業しリリースしたcipheron.netというウェブサービスを通じて、日本発の技術で世界初のサービスであるQRコードを情報の鍵として用いる新しいウェブセキュリティファイル転送サービス:暗号便を本格的に始めました。

本年は、これらの一見異なる様に見える2つの動き(周波数利用効率の抜本的向上と新しいセキュリティウェブサービス)を基本軸とし、更なる研究開発を行うことで、より多くの付加価値をつけたいと考えております。また、昨年とは異なる新製品・新サービスの提供に全力で取り組んでまいります。

それとともに、販売製品「VSC-P2P, CIPHERONシリーズ」, VSC-SDK, RanSure」のバージョンアップ及びサポート、携帯写真暗号化伝送サービス 「PhotoCipher」のサービス向上に努め、現在協業させていただいている企業の皆様の事業が益々発展する様、協力体制をより強固にしていきたいと考えております。また、これらの製品のうち、幾つかは、海外輸出の話が具体化されようとしております。我々は、設立当初から日本発のオリジナル製品・オリジナルサービスを全世界へという目標を掲げておりましたが、本年は、互いに相手が持っている知財権を尊重するという前提で、その実現に向け一歩前進する決意です。

本年も宜しくお願い申しあげます。

 

                                                 平成20年1月1日

                      株式会社カオスウェア 代表取締役社長 梅野 健